フテキな片想い
うっとりとした口調で、美雨は手にしたグラスを傾けた。
気の置けない友人たちに囲まれ、笑顔の絶えない二人は、確かに今までで一番幸せそうに見えた。
「お兄の幸せそうな顔見て、へこんだりしてんの?」
意地悪な質問を投げ掛けて見る。
美雨は俺を見上げて、ふっと笑うと、「真央に言ってなかったっけ?私、好きな人いるんだよ?」と惚けたフリをして答えた。
「へぇ、初耳。そりゃ、お兄よりも若くて、イケメンで、優しくて、さぞかし魅力的な男なんだろうな?」
「プッ、自己評価高すぎ」と美雨は愉快そうに笑い出した。
「でもね、最近気付いたんだけどね、私の好きな人って、笑った顔が凄くカワイイんだ。いつも何かを睨み付けてるみたいに不愛想だから、笑顔を見るとキュンってなるの」
「男に対してカワイイって言うのはどうかと思うけど、奇遇だな、俺の好きな子も笑顔がめちゃくちゃカワイイんだ」
俺を見上げる美雨の表情が、ぱっと明るくなった。
口元にえくぼの線が出来、白い歯を見せてにっこりと俺だけに微笑む。やべぇ、超カワイイじゃんと目線が合わせられなくなる。
慌ててそっぽを向いたら、美雨がそっと手を繋いできた。
「おいっ、お兄と晴美さんには、付き合ってるの内緒にするって決めただろ?こんな所で手なんか繋いだらバレるって」
手を振りほどき、厳重注意をする。