閉じたまぶたの裏側で
これは二日酔いのせい…?

勲以外の人とのキス。

勲以外の人の肌の温もり。

握られた手の先までジンジンする。

「芙佳…。」

應汰は私の名前を呼びながら、何度も何度も唇を重ねた。

頭がボーッとする…。

應汰がこんなにキスが上手いなんて知らなかった。

今までした事なかったんだから当たり前か。

ついでに言うと、應汰がこんなに肉食系なんだって事も初めて知った。

「俺とのキス…気持ちいい?」

「…バカ…。」

改めて聞かれると無性に恥ずかしくて、思わず顔をそむけた。

「芙佳、こっち向いて。もっとしよう。」

應汰は私の頭を引き寄せ、また甘いキスをくりかえす。

私の唇に触れているのが勲の唇じゃない事が不思議でしょうがない。

應汰の手が服の裾から忍び込んで、私の肌を撫でた。

唇は容赦なく首筋や耳元にキスを落とす。


ホントにこのまま、應汰としちゃっていいの?


このまま流されようとする私に、心のどこかでブレーキをかけようとする私がいる。

好きじゃない人とはしないって言ったのは私。

勲との不毛な関係から抜け出したいと思ったのも私。

應汰の事は嫌いじゃない。

應汰が言うように、付き合えばそれなりにうまく行くだろうとも思う。

勲と違って、應汰なら途中で奥さんの元へ帰る事もない。

だけどやっぱり…。


“芙佳、愛してる”


こんな時に限って、勲の甘えた顔と嘘臭い言葉が脳裏をよぎる。


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