双姫 Ⅱ
「朱音さん、下がって下さい。」
「僕らになんの用?」
「お前らまだ諦めてなかったのかよ!」
「目障りだ、失せろ。」
私を背に隠すように皆が対峙する。
「…用があんのは『双覇』じゃない。
後ろに居る女にあるんだ。なぁ『双姫』さん?」
『「「「「!?」」」」』
なんで、私が『双姫』だって…。
この三人はあの場所に居なかった。
分かる筈がない。
「お前のせいで『蛇蝎』は潰れたんだ!」
「お前のせいだ!!」
" アイツのせいで…。"
昔の私を見ているようだ。
私も東条のせいにしてた。
そうしないと狂ってしまいそうだったから。
コイツらにとって東条は恩人。
あんな奴でも良い事をしたんだろう。
「お前なんか…死ねば良かったんだよ!!」
パンパンパァン!!
「「「イッテェー!!!」」」
『「「「「……?」」」」』
三人の額に何か当たり、悶えている。
「はい、ストップ。
これ以上朱音の耳を穢さないでくれる?」
銃を片手に類が私の隣に立った。