双姫 Ⅱ
それを知っても
恩人だと言えるなら大したもんだ。
「悪行…。
確かに少しヤり過ぎな所があるけど
本当は良い人なんだよ!!」
「…その言い分だと知らないようですね。
自分の考えを過信するのはいけません。
私達は東条と錦は
刑務所に入るべき人間だと断言出来ます。」
「そうだね。
あれだけの事してたら当たり前だよねぇ。」
「知りもしないで朱音を追い詰めるな。
調べて出直して来い。
李樹、俺は先に病院に行く。」
「分かりました。
念の為に柏羅先生に事情を説明して下さい。」
「分かった。」
類は朱音を気遣いながら人混みを抜け出した。
「おい、そろそろ場所を変えるぞ。
周りが目障りだ。」
「…今更じゃね?」
俺らの周りにはギャラリーが集まって
やり取りをずっと見ていた。