緑の家
「テラスで食べよう!パパもだよ」 


オーギーが言ったとき、父は窓の木枠に目をやった。手を伸ばして何かを取り、そして笑った。


「どうしたの?」


「手は洗ったの?て書いてあるよ」


紛れもない母の存在に子供達は興奮した。


「ねえ、もっと探したら見つかるんじゃない?」


「それはダメだろう」


オーギーの提案を父は反対した。そしてこう言った。


「楽しみはとっておかなくちゃね」




父はずっと考えていた。取り返しのつかないことをしたくはないと。ここにきて腹をすえる。


ダニエルが兄弟の親代わりをつとめていた背景もあって、緑の家は売却を逃れた。父が思っているよりも、子供達はずっと大人になっていた。
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