wish
だが、今日は、ずっと聞いてみたかったことを聞くことにした。

言うのはためらわれたが、今日は、今日ならば、聞ける気がしたのだ。

体壊して、倒れてまでして、

「大丈夫」

と言われても、納得なんてできるわけがない。

ためらいがちに、だがしっかりとした口調で。


「母さんは…父さんのこと恨んでないの?」


相当驚いたのか、しばらく母はこちらを目を見開いて見つめたまま、
身じろぎひとつしなかった。


「どうしたの…突然」


絞りだすような声で、ようやくそれだけ言った母は、悲しそうな表情を浮かべた。




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