wish
次の日から2日間、文化祭の日の代休ということで、昇は家で過ごす。

母は言ったとおり、仕事へと出かけてゆき、家には昇だけが残された。

特にすることもなく、ぼぉっとただ椅子に座っていた。


ふと、昨日した質問が思い出され、自己嫌悪する。

聞きたいと思っていたが、聞いてなんになるのか。

聞かなくても、答えははっきりしていたのに。

もし、本当に母が「恨んでいる」と言ったら、楽になれたのだろうか。


消えては生まれる矛盾した考えは、止めようと思っても止まらない。


「俺、なにしてんだろ…」


今までは、こんなに過去について、父親のことについて、気にしたことはなかった。

むしろ、思い出さないようにと。


やっぱり、


「宮内に、会ったからかな」


咎めるような冷めた笑みではなく、何か解き放たれたような、そんな笑みを昇は浮かべ、椅子から立ち上がった。


ようやく、過去にとらわれないですむのかもしれない。


そう思うと、

早く友香に会いたくなった。


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