wish
「うん、いいじゃん。
今から連絡しろよ、宮内さん絶対喜ぶって」


まるで自分のことのようにはしゃぐ誠。

諦めた、と言っても、そんなに簡単な想いではなかったはずだ。

昇の胸はちくりと痛んだ。


「誠は、もういいの?」


誠は肩が大きく上下するほどに息を吐き出し、こちらをきっと見てきた。

「だから、気にすんなって言ったじゃんよ。
俺は一応、今は応援してんの」


最後のほうは照れたようにもごもごと喋る誠。


「今日、学校終わってからでもいいから、絶対連絡しろよ!」

「…そうだな」


誠に言われて、ようやく昇は連絡する勇気が出た。


学校が終わったら、連絡してみよう。


昇はポケットの中に手を入れて、携帯電話を握り締めた。

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