wish
教室に戻った友香は、
恵利子だけでなくクラスの何人かの女子に捕まっていた。
「どうしたの?みんなして…」
不安げに聞くと、恵利子が口を開く。
「友香、あんたさっきまた笹木くんと授業さぼったでしょ?」
「えっ!?恵利子それは秘密の約束!!」
「私が言ったんじゃないわよ?みんなも薄々分かってたみたいで」
恐る恐るみんなの顔を見渡すと、みんなの表情は高揚気味だった。
リンチとかそういったものを友香は想像していたのだが。
…あれ?
「ねぇねぇ友香ちゃん、笹木くんてどんなこと話すの!?」
その言葉を皮きりにみんなが一斉に質問をしはじめた。
「え?みんな、のぼ…あ、笹木くんのこと恐そうって言ってなかった?」
そう友香が聞くと、
「それは建前で、みんな本当は笹木くんのこと狙ってるのよ?
恐そうだけど、なんかそこがまたよくない?」
前に誠が昇に言っていたことは、あながち嘘ではなかったのだ。
友香は少し複雑な気分だった。