おばあちゃんが死んだ日
それでも偶には顔を見せに行った。
私がいない日は弟が行き、弟がいない日は私が行く。
私と弟が同時に顔を見せることは殆どなかった。
私が病室に入ればいつも、祖母は無表情に「今日は悠理は来ないの?」と弟の名前を呼んだ。
毎回聞かされるその言葉に祖母は私よりも弟の方が大事なんだろうと心の奥底で思っていた。
悲しいとは思わなかった。
「看護師さんから聞いたけど、ご飯全然食べてないんでしょ?」
「……」
「食べなきゃ元気になれないよ」
「もうこのまま死んでいくんだもの。知り合いの年寄りはみんな元気なのに、なんで私はこうなんだろうね」
いつになく弱気な祖母の声を聞いた。