奪うなら心を全部受け止めて
風呂上がり、酒を飲んだ。
バーボン…。柄にもなく飲んでみた。成れるはずもない。同じモノを高が一杯あおっただけで…千景さんにはなれない。
…はぁ、何してるんだろうな…、俺。なんの悪あがきだろう…。
…俺は俺だ。
寝室に入った。変わりない、布団は盛り上がったままだった。
もしかしたら、風呂から出たら…見たモノは幻だった…、なんて事にはならなかった。いや、居なくなってくれてた方が良かった。
本当に、この人は、俺の思うような行動はしてくれない人だな。
居て当たり前のように居る。幻じゃない。
真夏ならな…。
どこに転がってでも寝られる。寒いから仕方ない。誰も…来客のない部屋に余分な布団なんてない。寝袋なんて物も、使う趣味もないから、当然、ない。はぁ…。
潜り込むしかない、か…。
温かかった身体も冷えて来た。
掛け布団をソッと捲った。
つうっ…。
当たり前だけど白い脚が見えた。
もしかしたら…、下着姿で寝てるんじゃないのか…ワンピース脱いでるし。
そう思ったが、俺のトレーナーを着ていた。
…何とも…はぁ。助かったといえば助かった。
確か俺がベッドの上に今朝脱ぎっぱなしにしていたモノだよな。…。
大きなトレーナーは彼女の丸い腰を下まで余裕で包み、袖からほんの少し指先を覗かせていた。
…おっと、…長く捲ったままにするところだった。しかたないけど…失礼するか。