奪うなら心を全部受け止めて


…温かいな…。人の温もりっていうのは…。
温まっている布団に入るなんて…。
背中を向けて寝るつもりだったが、隙間が出来る。シングルだし、離れれば余計空いてしまう。
…言い訳ばかりだ。つまりは、抱きしめて眠る事に理由が欲しいだけだ。
恋人でもない。今日、一緒に寝る約束をした訳でもない。

子供か?俺は…。男だろ。
勝手に俺の部屋に上がり、勝手に俺の服を着て、俺のベッドに寝ているんだ。
何をされても文句は言えない状況だ。
……見くびられているのか…。
俺は許可なく抱いたりしないと。無理矢理になんてしないと。多分そうだよな。

俺は…ワンコか…。都合の良い…小型犬か…。
だったら抱くか?
それが出来ないから俺なんだな。
決して強引になんてしない、と。
お見通しだな、佳織さんは。

何も話さないで、このまま佳織さんが眠れるのならそれでいい…。
ただ、抱きしめさせては貰います。俺も眠りたい…。
今夜、俺を選んでくれた貴女を思いながら、何も考えず、ただ眠りたい。

佳織さん、…抱きしめると俺と同じ香りがする。
冷静にだったのか知らないが、佳織さんがシャワーをしていた事に、考えたら思わず笑いが零れた。
途中で俺が上がって来るかも知れないなんて考えなかったのかな、いきなり入って…襲われるかもなんて、思わなかったのだろうか…。

そうされたら、されたで、構わなかったのか。
いや…そんな事はないと思ったから、シャワーを浴びたんだよな。
とにかく…、俺は俺の愛しかたで…。
貴女のワンコに…、宿になりましょう。
それが俺と貴女の関係性、運命なんでしょうね。
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