奪うなら心を全部受け止めて
・佳織26歳
私は幸せだと思う。
優朔と居られる。
私の側で守ってくれる人が居る。
私をずっと見守り続けてくれてる人が居る。
初めは愛人なんて言葉に押し潰されそうだった。
我が儘を通しているのは私…。好きだから…一緒に居たいからって、思いのまま貫き通していいのだろうか。戸惑う。
ずっと若い訳じゃない…。綺麗で居られる訳じゃない。肌も身体も衰えていく。繋がりは身体だけではないと思いたい。気持ちは衰えたりしない。好き。
好きだけど怖い。好きだから不安になる。
24時間共に暮らしている訳じゃない。
許された時間だけ、会って、話して、求め合って…。
ご飯を食べられる時は私の作った物を食べ、一緒に片付けをしたりもする。
優朔の精神は大丈夫なのだろうか…。
本当の癒しはあるのだろうか。
「ん?どうした?そんなに見つめて」
頭を撫でられた。
「あ、何でもない…」
思わず抱き着いた。
「…もう、正直に言ってくれていいのに。悪かったな」
「え?」
「もっとシたいのかな?と思って。俺は体力温存してるし、大丈夫だぞ?」
左腕の拳を握り、肘を曲げ上腕二頭筋を盛り上がらせている。わざとふざけて?
「え!?、ばっ、ち、違う!優朔。違うよ」
抱きついたからって、違うから。
「そう?俺はてっきり、ご所望されてるのかと」
「違う、違います」
もう…。ちょっとシリアスになってたのに。
「…不安にさせてごめんな」
え?
「どんなに一緒に時間を過ごしても、佳織の総ては満たしてやれてないから。
でも、俺の心も身体も佳織だけのモノだからな、忘れるなよ?」
左手を取られ、リングのある薬指に唇が触れた。大きな手に握りしめられた。
「あ、優朔…。うん。有難う、……嬉しい」
胸に抱き着いた。泣き顔は見せたくない。
「ほら、やっぱりご所望だろ?」