奪うなら心を全部受け止めて


ピルを服用しての行為。…つまりはコンドームを使用しない関係を望んでしていた。
相手が行きずりの人じゃなくても、違う男性と関係を持つ。例え毎日じゃなくても、…怖くないのだろうか。

相手がコンドームを使用するのを嫌ったのだろうか。言ってもしてくれなかったら、それを心配したら。ピルを服用し続けておく事。着けてくれなければ自分を守る手段の一つとも言える。では…

「何故?…」

「妊娠するような事になったかって?」

「え、はい」

「それはね、…至極簡単な事だ」

「…子供が欲しかった、から、ですね」

「そうだね…。奥様は優朔より年上だし、年齢的な事、妊娠、出産するリスクを考えたら…悠長にしていられないと思ったからだろう」

確か優朔より5歳くらい上だと記憶している。…39歳か。
40歳迄には産みたかったという事だろうか。

「でも…だからと言って、その、相談なく勝手になんて。…ですよね?相手の人にだって…。
赤ちゃんはどうなるの?」

堕ろさないといけなくなるのだろうか…。
それとも、黙認して、産むことになるのだろうか。

「表立っては優朔の子。そうなるんだ。
今は誰の子か解らなくても、相手は断定出来ると思う。いずれ…鑑定するから」

産めるんだ。でも、鑑定されるなんて…。

「そんな…、鑑定なんて」

優朔の子として育つなら、誰の子だなんて、知らなくてもいい事かもしれない。でも…。

「リスクを伴うから今はできない。
でも、これから先の事があるから、相手ははっきりさせておかないといけないんだ。
色々と問題が出る前に、押さえ込まないといけない事もあるから。生まれてくる子供に罪はない。辛い思いをさせてはいけない。
…何があっても優朔と奥様の子供だ。優朔は愛情を持って育てるはずだ。
そういう男だ」

「…はい」

優朔がパパに。

「佳織ちゃん?大丈夫?今更だけど、政略結婚にも色々ある。愛が無く、形から入った結婚でも、穏やかに慈しみ合う、そんな場合もある。
暮らしていく内に愛が芽生える場合もある。…人格により色々だ。
立場や環境、大切にしたいと思う人が居るかどうか…違うんだ」

「…私は、このままでいいのでしょうか?
これからは、優朔は…奥様だけを大事にされた方がいい、赤ちゃんにだってその方がきっといいと思う…だったら、この関係…」

「いいんだよ、佳織ちゃん。このままで。
優朔の思いを潰さないでやって欲しいんだ。
本当の愛が失くなったらどうなると思う?
優朔の結婚、…こうなる事もあると、充分解った上で結婚したんだから。政略結婚の結果、起こるであろう様々な出来事は想定済みなんだよ。だから、さほど驚かずに済むんだ。
動揺するような事があっても、平静を粧えるように。…決して冷たい訳じゃない。上手く割り切れるように…想定済みなんだ。
優朔と佳織ちゃんはこのままでいいんだよ。
許された仲なんだから」

でも、……。
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