奪うなら心を全部受け止めて
「佳織、大丈夫だったか?怖かったな」
「千景さん…。果林ちゃんが居てくれたから。一緒だったから怖くなかった。大丈夫、大丈夫って言ってくれてたから」
「そうか。最初から俺も居れば良かったのに、ごめん、つい、あいつらと話し込んで」
「ううん。直人君が居てくれるって言ってくれてたから…」
「その肝心な直人君は、今あっちで、直人より肝の据わった果林ちゃんに叱られてるけどな」
「本当だ…痛そう。最初左の頬っぺたを引っ張られてたのに。今は両頬引っ張られてる、フフ、仲良しなんだから」
「なんだ、先にやられてたのか」
「うん。フラフラしたらダメだからって、言ってたかな?ギューッて」
「ハハ。フラフラではないけど、その通りになったって事か。
あー、日焼け止めはもう塗ったのか?」
「うん。念入りに。だから時間かかっちゃった」
「そうか。果林ちゃん達呼んで戻ろう。ショウと西邑はナンパに成功してたら居ないけどな」
「え〜。ナンパ…凄」
「逆ナンきっかけだから、どうなったかなぁ…。
もう既に違う相手で手を打たれているかもな」
「つまり、フラれているかもって事?」
「そうなってるかも知れないって、こ、と」
千景が佳織の鼻にチョンチョンと触れた。
……かぁーっ。……こんなこと。恥ずかしい。
…何?クリームが残ってたのかな…。何?え?
水着の上にラッシュガードを着て、短パンを履いた佳織の脚は、白くてスラリと長く、正直困惑していた。
これでラッシュガードなしだったらと思うと…。
ヤバい。俺もショウの病気に本格的になりそうだ。
健全な男子になってる場合じゃない。…。