奪うなら心を全部受け止めて
波打際でビーチボールで遊んだり、海の家で焼きそばを食べたり、定番な海を楽しんだ。
帰る先も違うし、色々と気を効かせてくれたショウが、傷心の西邑を誘い、先に帰って行った。
果林ちゃんは田舎に帰る用があるから早目に帰ると、ビキニのお姉さんに名残惜しげにしている直人を引きずって帰った。
着替えの済んだ俺と佳織は、次のバスの時間まで、もう少し海に居る事にした。
日差しはまだ明るかったが、それぞれのグループで帰り仕度をして帰って行く。遠方から来てる人が多いのかも知れない。
歓声を上げていた塊が、一つ、二つと消えてなくなっていくのを見送った。
パーカー姿の俺達は波打際を手を繋いで歩いた。
冷やかすような輩はもう居ない。
少し雲が出て来た。大きく滲んだオレンジ色の太陽が、次第に傾いて行った。
砂浜の奥。波の届かない程度の辺りに腰を下ろした。
「…高校最後の海か。佳織のお陰で楽しかったよ。まあ…ヤローばっかりで来るのとは違って、ハプニングもあったけどな。
あー、別に、アイツ達の事、人の不幸が楽しいって訳じゃないぞ?」
「ショウさん達の狙ってたお姉さん達、千景さん狙いだったなんて…。何て言うか…私が一緒じゃなかったら‥」
「たまたまだよ。人がどう思うかなんて、タイプだって、こんなところじゃ…今回限り、遊べたらいいと思ってる。それだよ。特にあの人達は年上だし。そんな女の人達だったよ。
だからショウ達も本気では傷ついてないから、何も心配ない。夏の風物詩?みたいなもんだな」
「…うん」
「佳織……」
「うん?」