奪うなら心を全部受け止めて

「…解ってる。...さっき迄はね。
私に取っても『万能薬』が現れたから、心も身体も今は一気に元気になったかもよ?優朔は私の救世主でしょ?」

「佳織、明日休みだよな?」

微笑んだ優朔の手が頬に触れた。

「う、ん、休み」

駄目...もう馬鹿みたいに凄くドキドキする、期待、してる。早く、触れて欲しいって。

「偶然だなぁ。俺も明日休みなんだよな」

というか、能が無理を承知で調整してくれて、いいから少しでも早く行けって、言ってくれたんだけど。
これを佳織に言うと、また能の株が上がりそうだから...止めとくか。

「だからずっと居られる。あー、もう佳織は風呂入ったよな?この格好だと。
俺まだなんだけどな」

「何?」

「お誘いしてるんだけどな?一緒に入ろうって」

「もう...、だ〜め。一人で入って」

疲れがドッと来てる。
安心し過ぎて浴槽で眠ってしまいそうだもん。

「はぁ、寂し〜いなぁ。一人ぼっちか...」

「そんなに歎かなくても...。入って来なさい、一人で」

「解ったよ」

簡単に引くなんて...素直なのがちょっと怖いんだけど。
もう...本当に、...睡魔に負けそう。

優朔がお風呂から上がるまでは...起きて...なく...ちゃ...。まだ...ま、だ...か、おも...よく、見、て...ない...の、...に。
話した、い、ことだって...沢山...あ、る、...のに。

「佳織、か、お、り」

フ。これはデジャヴュか...。ふぅ。何度も繰り返されそうだな。
眠れてなかったんだよな。…ごめんな佳織。
帰って来た時、佳織は疲れた顔をしていた。
眠っているのかどうか、解らないくらい浅い眠りの中だっただろう。
俺の声を聞いて泣いた。
閉じている瞼からコンコンと涙が湧き出ていた。
大事な人を泣かせたくない。そう思っているのに、俺は泣かせてばかりだな。

「ベッドに運ぶよ?お姫様...」
< 159 / 216 >

この作品をシェア

pagetop