奪うなら心を全部受け止めて
「…解ってる。...さっき迄はね。
私に取っても『万能薬』が現れたから、心も身体も今は一気に元気になったかもよ?優朔は私の救世主でしょ?」
「佳織、明日休みだよな?」
微笑んだ優朔の手が頬に触れた。
「う、ん、休み」
駄目...もう馬鹿みたいに凄くドキドキする、期待、してる。早く、触れて欲しいって。
「偶然だなぁ。俺も明日休みなんだよな」
というか、能が無理を承知で調整してくれて、いいから少しでも早く行けって、言ってくれたんだけど。
これを佳織に言うと、また能の株が上がりそうだから...止めとくか。
「だからずっと居られる。あー、もう佳織は風呂入ったよな?この格好だと。
俺まだなんだけどな」
「何?」
「お誘いしてるんだけどな?一緒に入ろうって」
「もう...、だ〜め。一人で入って」
疲れがドッと来てる。
安心し過ぎて浴槽で眠ってしまいそうだもん。
「はぁ、寂し〜いなぁ。一人ぼっちか...」
「そんなに歎かなくても...。入って来なさい、一人で」
「解ったよ」
簡単に引くなんて...素直なのがちょっと怖いんだけど。
もう...本当に、...睡魔に負けそう。
優朔がお風呂から上がるまでは...起きて...なく...ちゃ...。まだ...ま、だ...か、おも...よく、見、て...ない...の、...に。
話した、い、ことだって...沢山...あ、る、...のに。
「佳織、か、お、り」
フ。これはデジャヴュか...。ふぅ。何度も繰り返されそうだな。
眠れてなかったんだよな。…ごめんな佳織。
帰って来た時、佳織は疲れた顔をしていた。
眠っているのかどうか、解らないくらい浅い眠りの中だっただろう。
俺の声を聞いて泣いた。
閉じている瞼からコンコンと涙が湧き出ていた。
大事な人を泣かせたくない。そう思っているのに、俺は泣かせてばかりだな。
「ベッドに運ぶよ?お姫様...」