奪うなら心を全部受け止めて
「これで千の計画はパァか...。何となく佳織ちゃんの頭に、この映画の内容で過ぎればいいかなって事だったんだろ?さりげなく解らせようって魂胆」
「だから言ってるだろ?計画なんてもんじゃない。そういうのは邪推っていうもんだ。これはただの映画だ」
だから事情通は嫌いだ。勝手に考えやがって。
「はぁ、...涙が出そうだ」
「泣いていいんだぞ」
「映画にか?...お前にか?」
「何言ってる。映画だよ」
「そうだな。そういう事にしといてやる」
「しといてやるじゃない。そういう事でいいんだ。純粋に映画で泣けよ」
「千...。どうなるんだ?」
「観てたら解る」
「どっち...」
「だから映画の事だ。約120分後には結果は出るだろ」
「凝縮された恋愛だな」
「当たり前だ。実際と同じに撮ってたら、どんだけ長くかかると思ってるんだ」
「そうだけど。ワァーッと燃えて、佳境がすぐ来るからさ。だから映画なんだけど。
実際はじれったさがもっと長くてもっと切なくて苦しいんだ。この映画の結果がどっちになってもいいんだ。
やっぱり佳織ちゃん起こした方がよくないか?俺、佳織ちゃんに観てほしい。それで何かを感じ取ってほしい。
間接的でもいいじゃないか。少なくとも千の思い、感じ取ってくれるきっかけが出来るかも知れないじゃないか。どうせお前は律儀に誤魔化し続けるんだろ?」
「俺は、...どうだかな。本当に欲しくて手に入れたいなら、手段は考えないものだろ?
どんな事をしても手に入れたい、そんな強さがなければ、本気の好きとは言えないかも知れない」
「手に入れるだけが愛じゃないだろ?ただ思ってる。それもありだろ?
その子に対して出来る事、見守る事も深い愛だ。みんながみんな、自分の思いが叶う訳じゃない。例え相思相愛であったとしても、色々起きるだろ?予期せぬ事だってさ。どんなカップルでも安全、安泰はないんだ。
あ〜、切ない。
この『映画』は切ないな。ドキドキとは違った、キュンとする『長いストーリー』だ、な?千」