奪うなら心を全部受け止めて

佳織は相変わらず寝ていた。
昨日、何かあったのか?疲れるような事。ま、夏は夜寝苦しいからな。慢性的な寝不足かも知れないな。
俺は、当然だけど、俺と会ってる以外の佳織は知らない。
本物の彼氏じゃないから、立ち入った事は聞かない。特に本物の彼に関する事は聞かない。

もしかしたら何かあったのかな。
佳織は気を遣うから、こんな時、何とか観ようとするだろうけど、それがこんなに睡魔に負けるなんて。
ひょっとして、これは佳織の仕返しか?
俺が爆睡した事、許せないってずっと思っていたのか。んな訳ないな。そんな子供みたいなこと。

「ぐすっ。千。こいつイイ奴だな。さりげなく相談にのったり、結果、アシストしてる訳だろ?
彼女が幸せになる事、根本で祈ってる。幸せで居られるなら相手は誰でもいい。そんな思いって中々なれないよな?
ぐすっ、好きなら自分で幸せにしたいと思うじゃん、普通」

「幸せかどうかは自分で決める。だからじゃないか?
この人にしても、彼女にしても。幸せにして貰いたいんじゃない。幸せだと感じるモノは、人それぞれ、違うだろ」

「幸せは自分で決める。状況じゃなく内面だよな。何に幸せを感じるか、人によって違うもんな。
俺が幸せにしますって、立場が上みたいで、そんなのってなんだか痴がましく思えてきた。
そうだよな。幸せは自分で感じるんだ、感じて納得するんだ」

「そうだな...」

「佳織ちゃん、いい顔して寝てるな。安心しきっちゃって。千との関係性がいいって事かな。
あー、なんか、すまん。余計な事が口から出た」

「別に?いつもの事だ」

安心しきっている関係性か...。どっちに取れば...じゃないな。
安心されてる関係だ。
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