奪うなら心を全部受け止めて
お前がいない間、俺はずっと見てきたんだ。
「あ〜あ、全く、世話がやけるよな。優朔の着てるそれも。何でも俺に任せっきりにして。
どんな物でもいいとか、全く興味もないから、俺が着て合わせたんだぞ。体型は同じだからな。
優朔は生活が変わっても、不摂生で太ったりしないと解ってたしな。これでいいかって送りたくもない写真送ってさ。
そしたら、すぐ返信だよ。何でもいいってな。
俺、自分が結婚する訳じゃないのに、一般的な女子のマリッジブルーに近い経験、したような気になったよ。衣装会わせ、旦那がつれなくて、妙に寂しいみたいな?これでいいのかしらって、感じ?
少しは感謝してるか?社長様?」
「ああ、感謝してるよ。
それと社長はまだだ。正式には来週からだろ?
役員会議で承認されてからだ」
「もう、決定したようなものだろ?社長が会長に、て。
俺、社長付きの秘書だから、優朔にそのまま付くらしい。宜しくな」
「ああ、能は優秀だからな。親父がガッカリしてるよ。秘書は能がいいと思ってるからな。
だけど、ひよっこの俺には能でないと駄目だからって泣く泣く手放したんだ。
俺こそ頼む。いや、宜しくお願いします、能さん」
「何だよ。能さんとか今更言うな。さん付けはもうとうに止めてるだろ?」
「いや、言っても俺の方が年下なんだし。元々おかしいんだよ、呼び捨てにしてる事が」
「小さい頃に優朔がそう呼んだから、そのままになったんだよな」
「生意気だからな、チビの頃...甘えてるんだよな、ずっと能に」
「別にいいんじゃないか?年功だ。
優朔だって下の子に甘えられるだろ?そんなもんだよ。
年齢なんて、大してなんにもならないもんだ。
気にしてつき合うもんじゃないさ」