奪うなら心を全部受け止めて

佳織はなんとかして強くなろうとして藻掻いたんだ。…家庭に目を向けてはいけない。
想像したら、ずっとそれに囚われてしまう。
認めて流す術を見つけなければ、自分の幸せは逃してしまう。


優朔と愛人になる。愛する人だと言ってくれていたんだ。許された関係。妻とは違うけれど、優朔が大事だと、大好きだと言ってくれる。私も優朔が好き。揺るがない。
それ以上求めるモノはなかったじゃないか。
いつもいつも、思い出して反芻している訳ではないけれど…。だからダメなのか。毎日自分に言いきかせるように繰り返さないと。

好きと言える事、それだけで幸せだと思っていたはずなのに。
何を比べているの。
いつしか、どうしようもない事を求めようとしている自分がいた。
寂しいと思うのは、何かと比較してしまうからよ。

仕事で忙しくて、会えない恋人だって世の中には沢山いる。それでも続いているのは、会えない事を埋められる何かが、それぞれにあるからだ。幸せかどうかは自分が感じる事。

寂しさには負けない。日に日に人恋しくなるのは、歳をとって来たせいかも知れない。
誰かに側に居て欲しいと思う。
それは時として、ご飯を共にする友人でも良い。意味のない戯れ事を言い合える話し相手でも良い。
日々の寂しさは埋められる。

いつも心の隅に好きだと覚えておく事が私の幸せだと思う。
愛しいと思う相手がいる事が、私の永遠の恋の在り処だと思うから。

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