奪うなら心を全部受け止めて
おまけ

・誰にも知られないから、秘密なんだ


秘密①

識子さんの妊娠の可能性のある相手。本当の意味の…愛人。
調べられる範囲は全て手を尽くした。
相手は名のある人物が殆どで、そういう人物は、やはり高木識子と知って関係を持っていたようだった。
高木だけではないな。榊コーポレーションの令嬢としてもある。

会社と繋がりを持ちたい、そんな下心があって近付いて来たようだ。

始まりは、識子さんが求めた愛人と言うより、策略にのまれたという感じだろう。
それでも関係は持った訳だが。なんともやる瀬ない。
誰も新進気鋭の人物だった。若くて男前でもある。
相手には弱みがある。不純な動機で近づき関係を持ったから。

事情は話さなくとも、鑑定に必要なモノは簡単に提出してくれた。若いという事は、権力に弱い。...弱すぎる。
結果は誰も可能性はほぼゼロ。

どういう事だ。調査ミスか、…まだ誰か他に居る。そういう事になる。

ふぅ。
...一番近い人物で調べていない人物。...言葉に嘘はないと信じている。

或いは行きずりの相手か。どこの誰か解らない...探しようもない相手と、してしまったか...。
思いもよらないところで思いもよらぬ人物と関係を持ったかも知れない。

しかし、...。

報告は『該当者無し』で通りはしない。答えがないままでは報告にならない。

該当者は誰にせよ、必ず居る。相手が居ない妊娠は有り得ない。...無い事もないが、それは提供者が居れば、だ。
そこまでは広げなくてもいいような気はする。

該当者無しの報告書。渡して様子を見るか。
もしかしたら、『身に覚えのある人物』が発覚するかも知れない。

俺は書類をそのまま提出するだけだ。
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