奪うなら心を全部受け止めて
秘密②
俺と優朔は小さい頃から兄弟のようにいつも一緒だった。母親が姉妹だから、よく家を行き来した。
高木家も松下家も共に同じ菩提寺の霊園にお墓がある。
お墓と聞けば怖い想像をするのだけれど、広くて花も沢山植えられていて、子供だった俺達は墓参りに訪れる度、追いかけっこをしたりしてよく遊んだものだった。
その日は雨だった。
叔父さんが墓参りに行くと言うので、俺も優朔と一緒について行く事にした。
忙しくても時間を作って必ず叔父さんはお墓参りに行く人だった。
霊園に着いても雨は降っていた。
いつもみたいには遊べないことに少しがっかりした。
「さあ、着いたぞ。優朔は寝てしまったか。
能はどうする?車の中で優朔と待ってるか?」
秘書さんがいいよって笑っている。
「僕が花を持って行くよ」
「よし、じゃあ降りようか」
「うん」
優朔が起きないようになるべく静かに降りた。
「大丈夫か?持てるか?大きいぞぉ」
叔父さんが傘を広げ、中に入れてくれた。
「大丈夫」
渡された花束はフワフワしているのに重かった。いつも決まった花だ。
花に気を取られて、気がつくと目の前に女の子が居た。
あ...。綺麗なピンク色の傘の女の子。
こっちをジッと見てる。
女の子が手を振った。
なんだか恥ずかしかったけど振り返した。
照れ隠しに笑った。
可愛い女の子...。ここに来たらまた会えるかな。
あ、行かなくちゃ。
待ってくれていた叔父さんの後をついて歩いた。
それが俺の初恋だよ。
佳織ちゃんと知らない女の子に。