奪うなら心を全部受け止めて
俺とショウは1年の教室に向かって歩いた。
佳織ちゃんは大丈夫だろうか。こんなのされたの、初めてだよな…。
「あ、仲城さん、中橋さん…」
髪を濡らし、直人の上着を着た佳織ちゃんが居た。
「大丈夫?酷い目に遭ったね。顔、見た?」
首を振る。
「恐くて…、俯いたままだったから見てません。ごめんなさい」
「謝る事じゃないよ。何も力になれてなくて…俺らこそ、ごめんな?
先輩に頼まれてるのにこんな事じゃな…」
「そんなの…。ボディーガードじゃないんですから、いつもいつも目を配るなんて、出来ないんですから。このくらい、私は大丈夫です」
…。
少しの沈黙の後、ショウが呟いた。
「…あのさぁ、突拍子もない事、言ってもいいかな?」
何か閃いたのか、ショウはしたり顔で俺を見る。…いつもと言えば、いつもの事だが。
「…何だよショウ。突拍子もないやつが突拍子もない事って」
「…千、…。話す前から潰すような事、言わないでくれる?」
「だけど、お前はいつも、ぶっ飛んでるから、仕方ないだろう?…身の危険を感じるよ」
「フフン。いい勘だな。ま、そのぶっ飛んだ話だけど。…では。
佳織ちゃん、千とつき合っちゃいなよ」
「はぁ?」
「ぇえー?!」
「え゛ーっ!」
「……あの…」
「ま、こうなるわな。想像通りだ。慣れてる。
まあ、俺の話を聞いてくれ。いいか?カムフラージュだ」