奪うなら心を全部受け止めて
さて…。
久し振りの俺の部屋だな。長くても三日間の滞在だ。
綺麗に使ってくれてる。…妙なもんだな。今の俺の部屋より落ち着く気がする。今の部屋は、昔からだけど殺風景だかな。ここは人の温もりがあるように感じるからだな。
人によっては慣れてくるとルーズになりがちだが、きちんとしているな。最初と何一つ変わらない。
だから余計、誰かが侵入したら違和感を感じやすいんだな…。微妙だろうが空気感みたいなものだ。
佳織ちゃんは俺にも気を遣ってくれているのか。好きなように模様替えしてくれても構わないと言ってあるのに。
…今夜はソファーに寝るか…。
綺麗にシーツを取り替えられてベッドメイクされていても、…流石に…ベッドはなぁ…。
色々と…、悶々としそうだし。第一、眠れないのは困る…。
腰を据えて落ち着くか……珈琲でも入れるか…。
んー?これは俺の好きな豆…。
偶然かも知れない。俺の過剰評価かも知れない。元々使ってたモノをそのまま継続してくれてるだけかも知れない。ただ好きな豆が同じなだけかも知れない。
だけど、変わらず同じ物がある事が何だか嬉しかった。
俺の為…。用意して置いてくれていたと思ってしまう。…未開封だったから。
突然現れるかも知れない。…そんな状況に居ると思うと、自分の部屋でも落ち着かないもんだな。
DVDでも観るか…。かなり昔に録画してあったモノ、何かあるだろう。
…と、…これは。
最近DVDとして発売された映画が3本。キャビネットの棚に並んでいた。
フィルムは剥がされていた。…ハードボイルド系…か?
こんなの好きなのかな………どう見ても俺用って感じだよな…だよな?…。そうだよな…。
優朔はゆっくり観てる時間はないだろうから。
もう勝手に思い込むぞ。随分贔屓目かもしれないが。
これは俺の為だ。俺の為に用意してくれたモノ。そうに違いない。
…有難う、佳織ちゃん。
俺はその日、警戒しながらも、遅い時間になり、やっとシャワーを浴びた。常識なら行動はしないような時間。それでも、外出しようとしたらいつでも自由にできるだろう。だから厄介だ。
そしてソファーで眠りについた。