すきだから
「夢のない事言うわねぇ、香苗」

「夢なんて見られないよ。毎日悪夢のようなことばかりなのに」

「千歳の事?まさかあんなに積極的だとはねぇ。断ったのに納得してないんでしょ?しょうがないからもう付き合っちゃったら?」

「他人事だと思って!好きでもない人を彼氏にするほど軽くないよ、私は!」

「ごめんごめん。アンタ真面目だもんねぇ、そんな事出来ないよね」

陽菜はそう言って私の頭を軽く撫でた。
私は大きくため息を付く。

今の私にはテストよりも頭の痛い事。
どうやったら諦めてくれるのか、考えてもいい案は浮かばない。

あんなにカッコいい男。
別に私じゃなくてもいいじゃない。

千歳ならよりどりみどり、もっと可愛くてもっと性格のいい人と付き合えるのに。

なんで私なんだろう・・・・。

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