片道のRe:
これが所謂『恋』なのだと、頭の中では理解していた。

ドキドキだとかきゅんきゅんだとか、そんなオノマトペじゃ到底表せない。

喉の奥がじりっと焼けるような苦しさを、初めて知った。


話しかけるチャンスなど、幾らでもあったと思う。
けれど先輩が近くに居れば居るほど心は乱れて、喉はきゅっと狭くなり、私から言葉と勇気を奪っていく。

気持ちばかりが早足で、先輩のことを知りたいのに、臆病な私は近付けない。


矛盾する意識に私自身も混乱して、結局、ただ見ているだけで幸せだったあの距離を求めて、自ら先輩を避けてしまう。

そしてまともに目を合わせることも出来ぬまま、地区大会は始まった。

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