片道のRe:
もしも本当に神様がいるのなら、私は文句を言ってやりたい。
「まぁ気楽にいけよ! 城崎、野々山!」
「はい」
「……ハイ」
どうして今この場にいるのが、引率の先生と、私と、城崎先輩の3人だけなのかと。
もう少し気の利いたキャスティングしてくれても良かった筈なのに。
「野々山さん、緊張してる?」
「ひぃあい! 大丈夫です!」
「はは! あんま緊張すんなって。そもそも俺ら素人なんだし」
「……ハイ」
無理です、先輩。
あなたが横にいるだけで、私の心臓は活動限界を迎えそうです。
前日雨が降った競技場は、蒼天の陽を浴びて艶やかに光る。
トラックに染み込むのは化学的な雨の匂い、混じり込むのは汗と熱気とエアーサロンパス。
慣れない空気に、早くも飲まれてしまいそうだ。