片道のRe:
先生は芝生にブルーシートを広げ、私たちにゼッケンとパンフレットを渡した。

そして招集時間の10分前には着替えを終え、各々アップを取るようにと説明し、どこかへと消えていった。


残された私と先輩は、ブルーシートの端と端で背中合わせ。

聞こえてくるのはしつこく繰り返される場内アナウンスと、自分の心臓の音ばかり。


「俺が先だね」


恐る恐る振り返ると、先輩は片腕をシートについて、半身をこちらに傾けていた。

煩いほどの逆光に照らされているのに、翳った笑顔は何故か眩しい。
私は堪らず目を逸らしてしまう。


「あのっ、頑張って、ください」

「ありがとう。応援頼むな!」


満面の笑みは、やはり眩しくて。
染まる頬を悟られまいと、俯くようにこくんと小さく頷いた。

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