片道のRe:
「ファイトー!」
「ガンバー!」
他校の応援が飛び交う中、私は一人、スタンド席の端から先輩の後ろ姿を見つめる。
スタート位置に付き、スターティングブロックを調整している先輩。
いつもならば頭ひとつ出るはずなのに、今日に限っては隣の選手とほぼ変わりない。
一人という恥ずかしさ。
応援の掛け声も知らない。
どうせ熱気の渦に飲み込まれる。
私の声なんて、届く筈がない。
手すりを掴む力が強くなるほどに喉は締まり、ただ静かに、スタートの瞬間を待った。
やがて、空を割るピストル音。
選手が一斉に飛び出すと同時に、ぶわっと熱気が舞い上がる。
「ファイトー!!」
「ガンバー!!」
小さくなっていく先輩の背中。じわりと開いていく隣との差。
握り締めた拳の中が、じんと熱くなる。
――このままでは、いけない。
先輩にも『応援頼むな』と言われたのだ。
言わなければ。
何か、言わなければ。
でないと、このままでは……!
「先輩、頑張れぇー!!」
私の声が掻き消されるその瞬間、先輩はゴールラインを走り抜けた。
結果は、8人中7位だった。
「ガンバー!」
他校の応援が飛び交う中、私は一人、スタンド席の端から先輩の後ろ姿を見つめる。
スタート位置に付き、スターティングブロックを調整している先輩。
いつもならば頭ひとつ出るはずなのに、今日に限っては隣の選手とほぼ変わりない。
一人という恥ずかしさ。
応援の掛け声も知らない。
どうせ熱気の渦に飲み込まれる。
私の声なんて、届く筈がない。
手すりを掴む力が強くなるほどに喉は締まり、ただ静かに、スタートの瞬間を待った。
やがて、空を割るピストル音。
選手が一斉に飛び出すと同時に、ぶわっと熱気が舞い上がる。
「ファイトー!!」
「ガンバー!!」
小さくなっていく先輩の背中。じわりと開いていく隣との差。
握り締めた拳の中が、じんと熱くなる。
――このままでは、いけない。
先輩にも『応援頼むな』と言われたのだ。
言わなければ。
何か、言わなければ。
でないと、このままでは……!
「先輩、頑張れぇー!!」
私の声が掻き消されるその瞬間、先輩はゴールラインを走り抜けた。
結果は、8人中7位だった。