片道のRe:
しかしひと度恋心を認めてしまうと、それまで以上に意識してしまうのはどうしてだろう。

折角先輩に少し近付けたかと思ったのに、階段や廊下ですれ違っても、私は目を逸らした可愛げのない「こんにちは」しか言えない。

部活で外周を走る時も、必死で先輩の姿を探すくせに、いざ目が合いそうになると俯いてしまう。

見ているだけなら心は温かくて幸せなのに、目が合った途端に息苦しくなる。

そうして結局、私は一番安全で痛みのない、この距離に逃げてしまう。


終業式。
体育館に並ぶ漆黒の列から、頭ひとつ出た先輩の後ろ姿を見つけた。

夏休み。
部活で学校を訪れた日は、校庭の隅で野球部の練習をこっそり眺めた。

始業式。
先輩は意外と日に焼けていなかった。私の方が黒い気がして恥ずかしい。

そして、10月。
先輩が言っていた『次』の機会がやってきた。

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