片道のRe:
「タケトは忘れてないよ、ワカのこと」


リノは徐に視線を落とし、懐かしむように言葉を紡ぐ。


「病気が発覚して間もない時、タケトが一度だけ中学の時の話をしたんだ。
野球部の話とか、駅伝の話とか。あの頃は楽しかったなぁって、妙に意味深に言うから、ドキッとしたのをよく覚えてる。
で、その時タケトはちゃーんと『野々山さん』って言ってたよ」


リノは再び顔を上げると、にかっと笑う。


「今のワカなら大丈夫だよ。ね!」


その笑顔を照らす灯りは、先程と少しも変わりない筈なのに。

今度は何故か、少し眩しく感じて、私は「うん」と頷くふりをして俯いた。

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