キミへ
「でも本名は教えない。
キミの好きなように呼んでよ」



なんだよ、それ。



名前も苗字も知らねぇのにあだ名を
つけれるはずもない。



好きなように、って…。



やっぱりこいつは変わったやつだ。



でも静かなこの感じが俺にとっては
落ち着いてしまう。



だって、



だって俺はこいつの前では1度しか
違う自分を演じていないから。



本心で誰かに接するなんて
何年ぶりなのだろうか。



まるで初めて温もりを知った
子犬のようで少し恥じらいもあるが。



「さてと、そろそろ行こうかな」



そう言ってあいつは出口の方へと
歩き始めた。
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