キミへ
たまたま外に出た日に
たまたま知り合いに会うとか
全く考えもしていなかった。



しかもたまたま同じ時間に。



どんだけ狭ぇんだよ…世界。



「久しぶり!探してる子見つかった?」



なつきも慌てて改札を通り俺の方に
駆けて来た。



「ん、いや、何とも言えねぇよ」



そっかぁ〜と呟きながら俺の後ろを
着いてくるなつきは犬のようだった。



ぴょこんとはねた髪に気づいていない
彼女は本当に天然らしい。



「あっ、てかてか!あたしの本名
言ってなかったよね!?」



「あーそうだな、そういえば」



夏休みに知り合いに会ったダルさで
返事も適当になってしまう。



俺ってこんなキャラだっけ?
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