掌
けど、それからも達也から女の話しを聞く事はなかった。
そして俺は、あの話しを聞いて……気付いたんだ。
学校の廊下や街で、幸せそうなカップルを達也が誰にも気付かれないように、
ひっそりと見つめているのを。
その時の達也は、俺が入っていけないような
そんな自分の世界の中にいる。
その世界に入っていけるのは、卒アルに写ってたあの子か?
見ず知らずのカップルを
達也が力でねじふせて、偽物のカップルとなる前の
幸せだった頃の自分達と重ね合わしているのか?
達也……やめろよ、そんなの。
俺が苦しいよ。切ねぇよ。
そんな達也が変わる時がきた。
変えたのは、あいつだ。
いっつも笑ってて、菓子ばっか食ってて
俺の彼女の親友。
すっげぇ、いい奴だよ。
真奈には負けるけどな。