上司の笑顔を見る方法。
 


そして、1ヵ月後。

完成したWebページを確認してもらうため、私と藤谷さんは再びゆずさき製薬を訪れていた。

緊張の中、一通りの説明が終わり、「いかがでしょう」と藤谷さんが問う。


「素晴らしいです! こんなに素敵に作ってくださり、本当にありがとうございます!」

「ここは……うん。見やすいし、なかなかいいな」

「提案してもらった改善案で進めてもらって正解でしたね! ここの動きも目を引きますよ」


実際にWebページを操作しながら繰り広げられる依頼者たちの会話に、私と藤谷さんは顔を合わせて「喜んでもらえた」と頷き合う。

実はプレゼンの時、私のミスに対して「他のコンテンツの質には問題はないのか」と突っかかってきていた人がいて。

たったひとつのミスが起きただけでも、信用は簡単になくなってしまうもの。

もちろんこれから実際にWebページが公開されたくさんの人に触れられるのでまだ安心できるわけではないけれど、その人にも満足そうな表情が浮かんでいて、私はホッと胸を撫で下ろした。

頑張って良かった。

嬉しさのあまり頬を緩めてしまう私に対して、藤谷さんはいたって冷静。

でも私には藤谷さんの笑顔が見える気がしていた。

きっと、藤谷さんも私と同じように嬉しいと思っているはずだ。

途中でミスは犯してしまったけど、依頼者の笑顔を見ることができて、私は達成感でいっぱいだった。


自分たちが作ったものを依頼者が喜んでくれる。

私たちWeb開発をしている人間をはじめ、ものづくりに携わる人間は、この瞬間のために仕事をしていると言っても過言ではないと思うんだ。

 
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