ロールキャベツは好きですか?
「……ざっと説明すりゃ、こんなところだ。今度の月曜日、午後一で取引先に担当者変更の旨を挨拶に行くぞ」
「月曜日の午後一ですね。21日か」
「そうだ」
手帳に予定を書き加える。
週単位のカレンダーはもう予定でいっぱいいっぱいだ。
課長の入院が多忙に拍車をかけたことは否めない。
ある程度の打ち合わせを終えて、部長は姿勢を崩し脚を組んだ。
部長が何かを話す前にここを出よう。
「部長。アポの時間が迫っていますので……」
立ち上がった私に声が重なる。
「なぁ、祈梨」
穏やかなこの声を発するのは、この部屋の中にただ、一人しかいない。
「……双山部長。今は勤務時間です」
「今までだって、勤務中に名前で呼ぶことぐらいあっただろう?」
立ち上がって距離を詰めてくる部長。
私は極力、扉を目指して後退していく。
「あの頃とは立場が違うでしょう。部長も節度を持つべきでは?」
独身の部長と私のスキャンダルならば、社内恋愛のひとつとして、片付けられるだろう。
しかし、今、部長は婚約している。
そうなれば、私たちの関係は、どう主張しようが、不倫関係だと叩かれるだろう。
悪者になるのは、女の私。
会社が守るのは男である部長のほうだ。
しかし理性的な私の主張は全く部長の耳には届いていない。
「なぁ、祈梨。今晩抱いてもいいか?」