ロールキャベツは好きですか?
「……部長。私の話聞いてました?」
「俺は……祈梨との関係、終わらせたくないんだ」
悲痛な顔で部長は私を見つめてくる。そんな顔をされたら、私が悪者みたいじゃない。
「終わらせるも何も、黙ってアメリカに行ったのはあなたじゃないの!」
声を張り上げた。
もういい加減にしてほしい。
これ以上私を振り回さないで。
「帰ってきたと思ったら、婚約してる。しかも、出世目的で」
「結婚する理由なんてお前には関係ないだろ」
「関係ないわよ?でも、どんな理由とはいえ、婚約者がいるのに、私と関係を持つってどういうことかわかってていってる?」
まるで聞き分けのない子供に出会ってしまったかのようなため息を、部長は吐いた。
それがまた、私の癪にさわる。
「不倫だろ?このご時世、不倫が何だよ。人間倫理に外れているとか思う自体、その考えが古くさい」
「最低ね。あなた」
こんなやつを好きになった私が馬鹿だった。
こんな考えをもつ彼と結婚することになった向井さんに同情が湧く。
「俺がこんな考えだということは、向井もちゃんと理解しているさ。それにあいつだって、人のこと言える立場じゃない。男がいる」
向井さんに男?まさか……。
「見せてやるよ。写真」
不敵に笑う彼から逃げようと思ったのに、足が竦んだ。
部長はスーツのポケットからスマートフォンを取り出し、少し操作したあと、私に画面を見せた。
「……っ!?」
背すじが震えた。
思わず、瞬きして、唇を手で抑えた。
そこに写っていたのは、抱きしめあう男女。
少し背の低い女のほうは髪が長くて、俯いているからハッキリと顔は見えないけれど。
そんな彼女の肩を抱く男は……