ロールキャベツは好きですか?

「祈梨さん……」

キスを迫ろうと、その頬に手をかけ顔を振り向かせた。無意識に空の手は、主任の肩を掴む。

と、そのとき……

「痛っ!」

祈梨さんが声を上げた。

唇が触れ合う数センチ手前で俺の身体はピタリと止まった。

「……祈梨さん?」

「ごめん。祥吾くん。肩痛い」

「……っ……肩……?」

慌てて肩を持つ手を退けて、祈梨さんを真正面に座り直させる。

その肩にはひどい痣があった。

祈梨さんは自身の格好に恥じらい、下着を腕で隠しながら、ブラウスを羽織ろうとする。
その両手を思わず掴んで制止した。

「何?その痣。それに鎖骨の跡も……」

肩の痣だけじゃない。
鎖骨やお腹当たりは赤くなっている。

大人である俺は嫌でもわかる。
その跡が、情事の跡につけられるものだというくらい……。

「離してよ。祥吾くん」

「だったら、俺の質問に答えて。その痣は何?誰につけられた?」

前に彼女を抱いたのは、この前の土曜日。
今日は木曜日だから、あれから5日は経っている。さすがに俺がつけた跡は消えているはずだ。

「答えてよ。祈梨さん」

手首を握る両手に力を込めると、彼女の口がわなわなと震えて、その眼光がきつく俺を睨みあげた。

「そうよ。やったわよ。双山部長と。オフィスでね!どう?幻滅しちゃったでしょ!?お願いだから、別れてよ!こんな私なんか、捨てちゃってよ!!」
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