ロールキャベツは好きですか?

私の言葉に、お腹に手を当てたまま、佐藤さんがフルフルと頭を横に振った。

「子宮外妊娠で、子供の命を喪うことは……母親のせいではないです」

「わかってる。でも……」

どうしたって、私は自分自身を責めてしまう。
幸せになってはいけないんだって、どうしても言い聞かせてしまう。

「あのとき、子供の命を捨てなければ、卵管破裂を起こして、母体の命まで危なかったんだ、って何度も先生に説明された。

……でも、尚更、子供の犠牲の上に成り立っている命だと思うと申し訳なくて」

夜眠りにつくと、時々夢にうなされる。
死んだ子供が現れて、私に恨み言をぶつけてくる。

ちょうど杏ぐらいの小さな男の子。

そして最後に涙を一粒こぼしながら言うのだ。

『ママ……ボクは生きたかった━━━』

私の頬を涙が伝った。
4人の前で泣き崩れた。

床に膝をついて、震える唇を手の甲で塞ぐ。嗚咽を必死にこらえようとする私の肩を静かに誰かが抱き寄せる。

「ずっと、ひとりで、抱え込んでいたんですね」

この温もりが誰のものなのか、私は見なくてもわかる。
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