ロールキャベツは好きですか?

「別に俺は困ったことなんてなかったんですけどね」

「そんなことないでしょ」

「まぁ強いて言うなら、無防備な主任には困りました」

「…………?」

意味がわからず、首を傾げた。
鈍感な私に、田島くんはちょっと怒ったような表情を向ける。

「だーかーら!弱ってる主任につけ込んで、襲わないようにするのが大変だったって言ってるんです!」

私は自分の服を見た。
服装は昨日のまま。

そんな私に田島くんが珍しく声を張り上げる。

「襲いませんよ?襲ってませんよ!理性フルに使って、我慢しました。俺だって弱ってる主任に付け込むほど人でなしじゃないし!なのに……」

「なのに……?」

「なのに……俺の気持ちも知らないで、主任は暑いからって、自分からシャツのボタンを外そうとするんですから!」

田島くんは頬を染めて、目を逸らした。

誠実で我慢強い田島くんじゃなかったら、今頃食べられていたかもしれない。

「……重ね重ねすみません」

素直に頭を下げた。
本当に昨晩迷惑かけちゃったんだな……。
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