素直になれない7センチ
————チョコレートを食べる前に紅茶を淹れようと給湯室でお湯を沸かす。
就職してからあのチョコレートを食べてない。
夏目くんはずっと覚えていてくれたのかな。
それとも夏目くんもあのチョコレートを好きだっただけ?
どっちの理由だとしても……
「またラベンダーアールグレイだ。俺も今度買ってみようかな」
「わ!びっくりした!」
背後から聞こえてきた声に驚いて振り返ると夏目くんが立っていた。
まさか本人が現れるなんて思わなくって、マグカップ落としそうになっちゃった。危ない危ない。
「ごめんごめん。香穂さんと話したくて、追って来ちゃった」
「……っ、仕事してください」
「いいね、その言葉。先生と生徒ってのとはまた違って、社会人の会話って感じがして」