素直になれない7センチ
夏目くんの気持ちがわからない。
私のことからかっているだけ? あの頃のこと怒ってる?
夏目くんは他の人たちに見せているような爽やかな微笑みを向けてくる。
間近で見るとやっぱりカッコイイ男の人に成長したなぁなんてしみじみ思う。
「ま、まだ新人なんだから、こんなとこいないでちゃんと仕事覚えないと」
「仕事はちゃんとしてるって」
私の隣になって棚に仕舞われていたマグカップを取り出す。
こ、子猫のキャラクターのマグカップって……なにそれ。可愛すぎるんだけど。そういえば夏目くんの家って猫を飼っていたっけ。
勉強教えに行ってた頃、白くてぽっちゃりした可愛い猫がよく私のとこに擦り寄ってきてくれたなぁ。
「俺も珈琲作りにきたんだし」
「追ってきたって言ってたくせに……」
「追ってきてほしかったの?」
「そ、そうとは言ってないでしょ!」
「はいはい、怒らないの」