素直になれない7センチ



「香穂さん?」

「あ……うん。ごめん。ちょっと難しいや。九時くらいまでかかるかも」

「そっか、わかった」


なんでだろう。

夏目くんとご飯にいけなくなったことにショックを受けている自分がいる。


……誘われたときは戸惑ったのに。



「珈琲飲んで頑張ってね。おつかれさま」

にっこりと微笑んで退社していく夏目くんの後ろ姿を見送り、もらった缶コーヒーのプルタブに指をかける。


あ、そうだ。もらったチョコレートもあれからバタバタしていて食べてないんだった。



オレンジ色の包み紙を開いて正方形のチョコレートを口の中に放り込む。


甘いミルクチョコレートとオレンジのジュレの酸味が溶け合って、自然と笑みが溢れる。

やっぱりこれ好きだなぁ。
オレンジとチョコレートの組み合わせって最高。細かく刻まれているオレンジピールの食感とほろ苦さも癖になる。

温かい珈琲をごくりと一口飲めば、甘さ控えめでチョコレートとも良く合う。


よし……もう少し頑張ろう。






< 29 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop