素直になれない7センチ



————気分転換に給湯室で昨日購入した紅茶の箱を開封した。


ん〜、いい香り。

ふわりと薫るラベンダーアールグレイは、疲れた心にやすらぎを与えてくれる。


お気に入りのフレンチブルドッグが描かれたマグカップにティーバックを入れて、熱湯を注ぐ。

一気に琥珀色に変わり、柔らかな湯気にのって香りが鼻腔に運ばれる。



はあ……この香り大好き。




「へえ……未だにそれ好きなんだね」


背後から聞こえてきた声に背筋を伸ばす。



「……っ、な」


なんで。と言いかけてやめた。

そんなこと分かりきってるから。


だって、彼は知っている。

私がこのラベンダーアールグレイが大好きだってことを。






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