セカンドパートナー
すると、女子達は安堵の表情を浮かべ、
「そうなの? そっかぁ、そうだよね! 普通科って美術科と全然接点ないもんね!」
と、決めつけたように言い、嬉々と立ち去った。
それ以上絡まれなかったことに心底ホッとした。彼女達を敵に回さずにすんだらしい。
こういうことに過敏に警戒するようになったのには、わけがある。
中学3年の頃にも似たようなことがあったから。
学年の女子に一番人気のあったバスケ部のキャプテンが私のことを好きだというウワサが流れた。
そのウワサには根拠があったようで、周りが私の話を出すとその男子は顔を真っ赤にして黙り込んでしまう、というものだった。当時、その人と同じクラスだった美季が教えてくれた。
そのことを良く思わなかった女子達が、けっこう陰湿なことをしてきた。
表面的には愛想よく挨拶しておきながら陰で私の靴に画鋲を入れていたり、提出物のノートを破ってゴミ箱に捨てたり。困る私を見ては、男子のいないところで大笑いしていた。
それもつらかったけど、その件に連なり、家ではもっと嫌な思いをした。
女子達に私物を壊されるたび、
「物を大事にしろって、昔からしつこいくらい言ってるでしょ!」
母にヒステリックな声で怒られる。それはまだマシな方。