セカンドパートナー
仕事のストレスがたまっているとかで父の機嫌が悪い日は最悪だった。
大人の男の手で往復ビンタされたあげく、
「お前を養うのにどれだけ働かなければならないか分かるか!?」
お金を稼ぐことの大変さを暴力付きでこんこんと説明された。恩着せがましい言い方に腹の底から怒りが湧いて、
「だったらはじめから子供なんか産まなきゃ良かったじゃん! こっちの事情も聞かずにいつもそうやって押さえつけるような言い方して、親として恥ずかしくないの!?」
「口ばかり達者になりやがって! 誰が食わせてやってると思ってる!」
言い返すと、今度は蹴りが飛んでくる。しかも倍返しで。
「やめて! 詩織は女の子なのよ!」
さすがにまずいと思ったのか、途中で母が止めに入ったけど、その後は父の怒りの矛先が母に向かい「お前のしつけが悪いから詩織が反抗的になるんだ」などと言い出す始末。
全然自分を省みない父を、軽蔑した。何を言っても無駄だと分かっているのか、母は黙って嵐に耐えていた。