セカンドパートナー

 普通、子供の私物が壊されていたら真っ先に心配して寄り添うのが親だろう。なぜ責められなければならない?

 こんな家、とっとと出て行きたい。

 そう思いながら自室に引きこもり、涙を流した。父のせいで、腕に痣ができている。

 心も体も痛かった。涙を流すたび、傷口が深くえぐられるようだった。

 私は親から愛されていないんだなぁと、つくづく思った。そう思うたび泣けてきた。

 その夜は結局眠れなかった。

 ウワサの元になったバスケ部のキャプテンとは小学校から同じだけど、まともに会話したこともなければ同じクラスになったこともない。だからなぜ好かれるのか分からなかったし、女子達の嫌がらせにも深く傷ついた。

 あからさまなイジメにはならなかったけど、次はいつ何をされるのだろうと、学校へ行くたび恐怖心が膨らんだ。

 唯一の友達だった他のクラスの美季は芯の強い子で、周りのウワサに流されることなく私と友達でいてくれた。

「私と話してると美季まで悪く言われるよ」
「そういう人より、詩織の方が大事に決まってるし!」

 その一言で、どれだけ救われたか分からない。何があっても、美季とは離れたくないと思った。

 だけど、甘えてばかりいられない。自分でも何とかしたいと思った。美季まで巻き込んでしまうのは嫌だ。私はバスケ部キャプテンに興味がないことをアピールしなければならない。

 無駄に愛想笑いをするクセができたのはこの頃から。

 笑っていれば、相手は警戒心を緩めて友好的に接してくれると知ったから。

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