セカンドパートナー
次の瞬間、父の怒鳴り声が痛いくらいに鼓膜を震わせた。
「学校で話せることならわざわざ電話なんかするな!」
「わかった! ごめんなさい」
珍しく従うフリをし、謝った。羽留との電話の余韻(よいん)を消されたくなかったから。いつもはここで反発するのに。
父も変に思ったのだろう。私の手から子機を取り上げ乱暴に扉を閉めると、そのまま部屋を出て行った。バタンという無遠慮な音にビクついてしまう自分も、父に屈したみたいで嫌なものだった。
「うるさいな。静かに閉めろ」
消えた父に、ボソッと言う。
大事にならなくてよかったけど、自分の意思とは違うことをするのはやっぱりストレスだ。
羽留に父の怒鳴り声を聞かれてしまったかもしれない。明日、うまくごまかせるといいけど……。
明日、並河君と会えますように。
また、笑って話ができますように。
そう願うことだけが光だった。どんなに荒れた気持ちも、並河君のことを思い出すだけで穏やかになっていくーー。
翌朝、いつもより早く起きて学校へ行き、登校するなり並河君を探した。
下駄箱だけは全学科同じ場所にあるので、思い切って1年D組美術科の下駄箱を見に行ったけど、並河君はすでに教室に行ってしまっていた。