セカンドパートナー
「ありがとう、並河君。助かったよ。でも、言いにくいこと言わせたよね……。菱田君とは同じ中学同士なのにあんなこと言って大丈夫だった? 気まずくならない?」
「なってもいいよ、別に。もう関係ないし」
「強いね」
「そんなことないよ。詩織が困らないならそれでいい」
少し切なく、だけど柔らかい瞳で、並河君が私を見下ろしていた。その目に、また、ドキドキしてしまう。
菱田君に見つめられても平気だったのに、並河君の視線は妙に意識してしまう。なんでだろ?
「並河君、職員室か下駄箱に用事あったんじゃ…? 菱田君と話してて気付かなかったけど、私さっき美術科の下駄箱塞いで邪魔してたよね」
「ううん。用事はないよ。詩織に会えそうな気がして、なんとなく行ったらホントに会えた」
そっと自分の頭を触り、並河君は私から目をそらした。私に会うために、わざわざ下駄箱に戻ってきたの?
「邪魔って、詩織に言ったわけじゃないから。誤解させてごめんな」
「そうなの? 私も邪魔だったと思うけど」
「菱田君に言ったの」
それだけ言い、並河君は立ち去ろうとする。
胸がキュンとした。いつも優しくて明るくて人当たりのいい、そんな並河君の本音を感じて、どうしようもなく胸が苦しい。
菱田君にだけ邪魔と言った理由は分からないけど、
「電話番号、交換しよ? 家電でよかったらっ」
並河君をもっと知りたい。その気持ちはまぎれもない本当の思い。
しょっちゅう見失う自分の気持ちの中で、いちばんハッキリしていて分かりやすい感情。